2012年12月28日金曜日

名古屋シネマテークでの上映を終えて。

12月21日(金)~23日(日)に名古屋シネマテークhttp://cineaste.jp/で開催された、第26回自主製作映画フェスティバルにて『TRAIL』が上映されました。
名古屋シネマテークは本当に魅力的なプログラムを組まれる映画館で、映画好きにはもちろん、ご近所の方もふらりと寄られる歴史ある街の映画館です。
そのシネマテークが毎年主催されているのが「自主製作映画フェスティバル」で今年でなんと26回目。つまりは26年目!その中に光栄にも選んでいただきました。

上映は計2回。1回目の21日(金)12:00~の上映では、上映後に波田野州平監督とプロデューサー河野のトークがあり、2回目の23日(日)16:30~の上映では、プロデューサー河野と、東京から電話による参加の波田野監督とのトークがありました。両日とも、多くの御客様に御来場いただきまして、本当にありがとうございました!
僕は2日間とも終日劇場で自分たちの映画を含めて、たくさんの作品を見ました。普段は東京にいて、大小様々な映画を目にしながら、半ばそれを当たり前のものとして考えていたところもありますが、名古屋という場所にも当然ながら、低予算ながらも自分達の映画を作る人たちがいて、それを心を込めて上映する映画館があり、それを見守り劇場に足を運ぶお客さんがいる、というささやかながらも幸せな関係がしっかりと根付いていたことがとても嬉しく思いました。
また、いつもは音量を少し大きめに設定して上映していましたが、支配人の永吉さんの設計により、この映画の静謐な雰囲気に合った「適音」を探る上映ができたことは、新しい発見につながりました。ただ聞こえてくる音を聞くのではなく、身を乗り出して聞きにいく、ということがこの映画の内容ともリンクするということかもしれません。

僕達は、『TRAIL』を上映できるところがあれば日本全国どこにでも行きたいと思っています。直接劇場に行きお客さんと会って話す、という作り手にとってのこれほどまでに幸せなことはありません。これからもそんなシンプルなことを続けながら、上映の旅を続けていきたいと思います。

もしまた名古屋で上映できる機会があれば、次も是非名古屋シネマテークでやりたいと思っています。お近くにお住まいの方も、見る映画に迷ったら名古屋シネマテークに行けば、1日3~4本の映画を見ることができますので、是非足を運んでみられてはいかがでしょうか。

もう少しで2012年も終わりですが、来年の始め頃には、東京での公開劇場の情報を皆様にお伝えできることと思います。そちらも楽しみにしていて下さい。引き続き、どうぞよろしくお願い致します。


2012年11月29日木曜日

次なる上映は、名古屋です!


随分と更新が滞ってしまいましたが、次なる上映のお知らせです。
場所は名古屋シネマテーク(http://cineaste.jp/)にて、12月21・23日の2日間、12月21日(金)12:00〜、12月23日(日)16:30〜の計2回上映です。

名古屋シネマテークは本当に魅力的なプログラムを組まれる映画館で、映画好きにはもちろん、ご近所の方もふらりと寄られる歴史ある街の映画館です。

そのシネマテークが毎年主催されているのが「自主製作映画フェスティバル」で今年でなんと26回目。つまりは26年目!その中に光栄にも選んでいただきました。『TRAIL』だけではなく、他にも面白そうな注目の映画が上映されますので、名古屋近辺の方、中部地方の方はぜひ足をお運び下さい。

波田野監督と河野は21日(金)に劇場にいます。23日は、監督は残念ながらおりませんが、何らかのツールを駆使して乱入するとの噂も。(河野はいます) こちらは、詳細が決まりましたら、また報告致します。
このチラシの下の方に詳細が載ってます。
http://cineaste.jp/f_pdf/201212.pdf


また、名古屋シネマテークの公式HPのトップから、「上映スケジュール&作品解説」→左下部分の「12月」→左側の「第26回自主製作映画フェスティバル」と順にクリックしていただくと、各作品の解説も見ていただくことができますので、そちらもどうぞ御覧下さい。

そして、去る11月2日(金)に、鳥取県米子市で開催された、よなご映像フェスティバルhttp://yonagoeizofestival.org/schedule/2nd_day/内の「地方発信映画祭2012」において『TRAIL』が上映されました。映画を上映するたびに、新しい出会いや、感想をいただき、映画を見て下さる方に手渡せる喜びを肌で実感しています。御来場いただいた皆様、ありがとうございました。

少しずつですが、日本各地での上映を順次お伝えしていけたらと思っています。
また、東京での劇場公開も近日中に報告できたらと思っています。それまで、もうしばらくお待ち下さい。
引き続き、どうぞよろしくお願いします。


2012年6月8日金曜日

山陰限定上映を終えて

6月1日(金)から6月4日(月)に鳥取県倉吉市、鳥取市、米子市、島根県松江市にて行いました、『TRAIL』山陰限定上映は無事に終了致しました。4日間を通じて、天候にも恵まれ、多くの御客様にお越しいただきました。御来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。
4日間で計6回上映と、なかなかのハードな日程でしたが、最後まで走りぬくことができたのは、御来場いただいた方々はもちろん、日々支えてくれたスタッフ、各会場を提供して下さった方々、そして素晴らしき友人たちのおかげだと思います。改めてここに感謝致します。ありがとうございました!
映画は見てもらって初めて完成する、と完成披露上映の時に綴りましたが、今回の上映では、各回ごとに波田野州平監督が前に出て、時にはゲストを迎えてトークやQ&Aを行うという、御客様との距離をより近くに感じることができる上映になったと思います。励ましの御言葉や、時には厳しい御言葉をいただきながら、御客様との会話のキャッチボールをしていく中で、自分達の気づいていないことまでも言ってくださる場面に遭遇するなど、『TRAIL』が自ら動き出しつつあることを実感したこともありました。やはり、何事も実行してみなければ分からないことがたくさんあるのだと痛感しました。汗にまみれて、走り回りながら経験した今回のことすべてを、次なる『TRAIL』の上映に繋げていきます。
今後の上映は、詳細が決まりましたら、またこちらで報告させていただきたいと思います。 
また、『TRAIL』の公式ホームページ(http://trail-film.tumblr.com/%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E6%84%9F%E6%83%B3)には、今回の上映に寄せていただいた新たな感想も追加されています。そちらも併せて御覧下さい。


引き続き、どうぞよろしくお願い致します!

ソングライン・ピクチャーズ代表  河野 竜也

2012年5月3日木曜日

ロケ地お礼参りの旅です!

皆様、お待たせ致しました!
『TRAIL』の次なる上映が決定致しました。6月の4日間山陰限定上映、題して、「ロケ地お礼参りの旅」です。主要な撮影を行った倉吉市から始まり、鳥取市、島根県松江市、米子市と続きます。コラボレーション・ライブや、波田野州平監督のドキュメンタリー上映、ゲストを迎えてのトークや、秘蔵のライブ映像の上映と、毎日がもりだくさんです。家族や友人、親戚や恋人、これから仲良くしたい人、みんな引き連れて御来場下さい。皆様のお越しをお待ちしています!


日時:2012.6.1(金)開場18:00/開演19:00
場所:ageHa(鳥取県倉吉市上井1-8-7)
料金:2300円+1ドリンク/中学生以下:1000円+1ドリンク(ドリンク代金は、御客様の御負担でお願い致します。)
予約:ソングライン・ピクチャーズ(tatsuyakawano01@gmail.com)/ageHa(0858-26-3232)
上映前に音楽家・三富栄治(ギター)と詩人・藤本徹(朗読)によるコラボレーション・ライブあり。上映後には監督トークあり。


日時:2012.6.2(土)①開場12:30/開演13:00 ②開場17:30/開演18:00
場所:ギャラリーそら(鳥取県鳥取市栄町658-3)
料金:2300円/中学生以下:1000円
予約:ソングライン・ピクチャーズ(tatsuyakawano01@gmail.com)/ギャラリーそら(0857-29-1622)
各回上映前に音楽家・三富栄治(ギター)と詩人・藤本徹(朗読)によるコラボレーション・ライブあり。上映後には監督トークあり。16:00からジャド・フェア&テニスコーツのツアーを波田野監督が記録したドキュメンタリー『エンジョイ・ユア・ライフ』の特別上映あり。チケットのご提示で無料にてご覧いただけます。


日時:2012.6/3(日)①開場13:00/開演13:30 ②開場17:00/開演17:30
場所:カラコロ工房地下第一ギャラリー(島根県松江市殿町43)
料金:1800円/中学生以下:1000円
予約:ソングライン・ピクチャーズ(tatsuyakawano01@gmail.com)
各回上映後にゲストを招いての監督トークあり。1回目:ゲスト未定(決定次第こちらで報告致します)。2回目:山崎樹一郎監督(岡山県真庭市にて制作された地産地生映画『ひかりのおと』の山崎監督をお迎えします)。


日時:2012.6/4(月)開場18:30/開演19:30
場所:アスタラティーナ(鳥取県米子市東倉吉町134-2)
料金:1800円+1ドリンク/中学生以下:1000円+1ドリンク(ドリンク代金は、御客様の御負担でお願い致します。)
予約:ソングライン・ピクチャーズ(tatsuyakawano01@gmail.com)/アスタラティーナ(0859-37-3102)
上映後に今まで波田野監督が撮影したライブ映像を一挙公開します。洋楽・邦楽問わずここでしか見られないオルタナティヴな音楽をライブハウスならではの音響でお楽しみ下さい。

2012年4月9日月曜日

『TRAIL』日本海新聞掲載記事


3月25日付の日本海新聞に『TRAIL』についての記事が掲載されました。この映画がまだ「一年間というタイトルの時に、大社湯(倉吉市新町)での撮影の様子を記事にして下さったのも日本海新聞でした。こうして地元に密着した新聞に、継続して記事にしてもらえることは、何よりも大きな励みになりますね。ありがとうございます!これからも、再び取り上げていただけるような、魅力的な上映を企画していきます。そして今回の写真は、監督とプロデューサーの貴重な2ショットですね。「現実と虚構、現在と過去が行き来するダーク・ファンタジー」とこの映画のイメージを伝える波田野監督の言葉が気になったら、『TRAIL』を見に行くしかありませんね。『TRAIL』の旅はまだまだ始まったばかりです。引き続きよろしくお願い致します!

2012年4月8日日曜日

『TRAIL』朝日新聞掲載記事と次回の上映


3月24日付の朝日新聞に『TRAIL』についての記事が掲載されました。鳥取市にある丸福珈琲店の前に立つ波田野監督も写っていますね。総勢30名以上のエキストラの方々に協力していただいた撮影からはや6ヶ月が経とうとしています。「想像力という名の大きな鳥が目の前にいるとしたら、その鳥は自分をどこまで連れて行ってくれるんだろうって、そんなふうにこの映画を見てほしい」という波田野監督の言葉が印象的です。『TRAIL』の上映はまだ始まったばかりですが、次回の上映は6月2日(土)に鳥取市のギャラリーそら 鳥取県鳥取市栄町658-3 駅前サンロード )にて行います。上映開始時間や料金、ゲストなどの詳細は近日中にまたお知らせしますが、昼夜2回上映します!他紙掲載記事も引き続きこちらで報告していきますので、そちらも楽しみにしていて下さい!引き続きよろしくお願いします。

2012年3月31日土曜日

完成披露上映を終えて

3/25(日)の倉吉未来中心での『TRAIL』初上映当日は、雨→雪→吹雪と「なにもこんな日に吹雪かなくても」と思うほどの悪天候。そんな天候にもかかわらず、会場には、200人を超える御客様が来場して下さいました。映画は見てもらって初めて完成する、とのことを昔教わったことを覚えていますが、あの日がこの映画の新たなスタートの日だったのだなと今改めて実感しています。開場前の受付の対応や、会場への誘導、進行の仕方など、今回の上映での課題はいろいろとありますが、できたことはもっと磨き上げて、できなかったことは次こそは改善をして、次回の上映に望みたいと思います。
これからは、もっと厳しい環境での上映もあるかとは思いますが、この映画『TRAIL』を信じて、新たなる旅を始めていこうと思います。時には厳しく、そして時には温かく見守ってやって下さい!次回の上映の詳細が決まりましたら、またこちらで報告させていただければと思います。
また、波田野州平監督のコメントとともに、見ていただいた方からのアンケートの一部は、こちらhttp://nightpeoplejp.blogspot.jp/2012/03/blog-post.html から見ていただくことができます。

最後に、この映画に協力して下さったすべての方々に、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
今後とも引き続き、よろしくお願い致します!

ソングライン・ピクチャーズ代表  河野 竜也

2012年3月3日土曜日

『TRAIL』と完成披露上映

映画のタイトルが決まりました。今までは、『一年間』というタイトルでしたが、正式に『TRAIL(トレイル)』に決定致しました。そして、完成披露上映も決まりました。まずは、撮影をさせていただいた鳥取からです。



TRAIL(2012/日本映画/100分/HD/カラー/16:9/ステレオ)

製作:ソングライン・ピクチャーズ
プロデューサー:河野竜也
監督:波田野州平
出演:山口洋佑三富栄治/藤本徹/Dan Abbe/時政里紗

<物語>
焚き火を囲み、とりとめのない話をする芸術家たち。画家の山口、音楽家の三富、詩人の藤本は、創作旅行の途中で山間の村に立ち寄る。そこで出会った赤い少女トキの案内で、空き家を借りて創作活動を始める。彼らは森を散策し、雲を眺め、時に動物とふれあうのどかな日々を送る。ある日、三富とトキが森に入ったまま姿を消す。雨の森、濁流の川、ふたりを探す山口と藤本の前に、変わり果てたトキの姿があった。と、
突き止めた夜に、アルゼンチンの作家は滞在先のホテルで悪夢を見る。そして、展覧会で山口が描いた絵に遭遇したその瞬間、現在までの一分一秒が堰を切り、渦巻き、作家の中に流れ込む。やがてその渦中から、姿を消した三富が現れて我々を襲う。

『TRAIL』完成披露上映(終了致しました。たくさんの方に御来場いただき、ありがとうございました
日時:2012年3月25日(日)午後6時30分
場所:倉吉未来中心小ホール(鳥取県倉吉市駄経寺町212−5/倉吉パークスクエア内)
料金:一般1000円/学生800円/小学生以下無料
(イベント終了は午後9時30分を予定しています)

上映前には、スタッフ・キャストの舞台挨拶が、上映後にはアフタートークが有ります。
<アフタートーク>
ゲスト:清水増夫(NPO法人とっとりフィルムコミッション理事長)、藤川知也(よなご映像フェスティバル実行委員会代表)
鳥取で活躍されている御二人と監督の波田野州平、プロデューサーの河野竜也によるトーク。映画のことはもちろん、鳥取で映画を撮ることなども含めて、お話させていただければと思っています。映画の余韻を引きずりながら、最後までお楽しみ下さい!
問い合わせ:tatsuyakawano01@gmail.com(ソングライン・ピクチャーズ代表:河野竜也)

詳細は上記の通りです。上映情報は随時更新していきますので、チェックよろしくお願いします。また今後も、全国津々浦々をツアーして回りたいと考えています。その時は映画はもちろん、出演してくれた山口洋佑さんの絵の展示、三富栄治さんの演奏、藤本徹さんの詩の朗読なども一緒に楽しめるような上映会を考えています。特に地方で、こんないい場所やこんなおもしろい人がいるよという所があれば、ぜひ教えてください。遠くにいるけれど、待つのはイヤ!という方、フライング大歓迎。いや、待つのも仕事だという方、もうしばらくお待ち下さい!
そしてそして、肝心の映画『TRAIL』本編の完成は、もうまもなくです。お楽しみに。
予告編を見て、予習しといてねー!!

2012年2月1日水曜日

とっとり県政だより(2月号)に掲載.


鳥取県未来づくり推進局広報課発行の『とっとり県政だより』(2月号)が、映画『一年間』(仮)とソングラインピクチャーズについて取材をして下さいました。この『とっとり県政だより』は、鳥取県の全世帯に配布されるとのことです。しかも、冊子を1枚めくった最初のページに掲載されました。鳥取での撮影中の写真は、すべて小沢利佳さんによるものです。右上に写っている波田野監督は光に包まれていますね。こうして、映画が少しずつ広がっていくことが、とても嬉しく思います。肝心の映画『一年間』(仮)ですが、完成に向けていよいよ追い込みです。完成を楽しみにしていて下さい!引き続きどうぞよろしくお願い致します。



2012年1月17日火曜日

山口洋佑さんの個展「しらないこと」


映画『一年間』(仮)に出演いただいた山口洋佑さんの個展「しらないこと」が、TOKYO CULTUART by BEAMS http://blog.beams.co.jp/cultuart/にて1月25日(水)まで開催中です。13日(金)のオープニングのライブでは、山口さんが参加しているjutomani(ふとまに)に三富栄治さんも加わって会場が小さな惑星みたいにとろけあっていました。展示も音楽も声も全部つながっているんだな、と感じた刺激的な夜でした。山口洋佑さんの絵、そして三富栄治さんの音楽は、映画『一年間』(仮)の中でも使用されています。どのように出てくるのかをどうぞ楽しみにしていて下さい!
連日11:00~20:00まで開催中ですので、お休みの日や仕事帰りに行かれてはいかがでしょうか。もしかしたら、山口洋佑さん本人にもお会いできるかもしれませんよー。
上の写真は、13日(金)のオープニングのライブの様子です。会場は、お客さんでいっぱいでしたね。
向かって左側のニット帽を被っているのが山口洋佑さん、右側のキャップを被っているのが三富栄治さんです。
そして、肝心の映画ですが、現在波田野監督が完成に向けて編集を進めています。楽しみにしていてください!




2012年1月11日水曜日

制作日誌その1/『ジャリー』を観た。

ヶ月に及ぶ撮影の間、持ち込んだプロジェクターを合宿所のリビングの壁に投影し、みんなで映画を観る時間がありました。撮影の参考にというわけではなく、ただ単に好きな映画を息抜きとして観ていました。でもひとつだけ制作の為に持ち込んだ映画があります。トリュフォーの『アメリカの夜』。映画撮影の裏側を、愛情いっぱいに描いたこの映画をスタッフ全員で観て、「こんなにも映画制作って面白いんだ。だから明日からの過酷な一ヶ月をみんなで楽しく乗り切ろう!」という士気高揚の為に用意したのですが、あまりにも撮影準備が忙しく、映画を観ている暇などありませんでした。結局この映画を観ることはなく、撮影は終了してしまった。

役者さんとシガーロスのドキュメンタリー『ヘイマ』を観て、アイスランドの自然の雄大さに恐れを抱き、「うんうん、彼らの音楽はこの土地から生まれた音楽だね」と納得したり。スタッフとはガス・ヴァン・サントの『ジェリー』を観ました。誰もが面白いというような映画ではないので、どんな反応をするんだろうと少し心配だったけど、意外にもみんな楽しんでくれていた。「暇で暇でしょうがないときに、無性にまた観たくなる。」と、そんなことを言っていた鳥取大学映画研究会のメンバーが『ジャリー』という映画を作りました。

ひと言で言ってしまうと『ジェリー』のパクリです。というかそのまんまコピー商品。
でもこの映画を観て、僕はすごく感動してしまいました。
高校の頃、音楽がしたくてパールジャムのコピーバンドを友達と組みました。同じく高校の頃、バスキアの映画を観てたくさん真似て絵を描きました。そういったことを思い出し、そのときの気持ちを思い出しました。こういうことは思い出すだけで恥ずかしくなることなので、なるべく忘れようとしてしまいます。でも、と『ジャリー』を観て感じました。
画家はたくさん模写を描くし、音楽家も昔の作曲家の楽譜を一生懸命練習する。だとしたら、いいなと思った映画と同じ映画を作ってみよう、という気持ちはごく普通のことなのかもしれません。作ることで学べることは、観るだけよりたくさんあります。何よりその「じゃあ、やってみよう。」という素直な気持ちは忘れようとしてはいけない、と気づかされ、心を打たれました。

この温情のような感情は、多分に、彼らが僕の友達で、個人的に知っているから湧いた感情だとも思います。いや、ほんといいやつらなのです。
ただいくらコピーといっても、完全にコピーできるはずはなく、その本物とのずれこそが大事な部分だと思います。
『ジャリー』にも『ジェリー』にはない部分がいろいろあって、例えば砂丘のふちを男が歩いた後ろから、砂が雪崩のように崩れていって、その頭上を鳥が飛んでゆくところ。吹雪の中でひとりの男が「車があって、スープもあって、帰る道も僕は知ってる。そういうことを君に言える僕でいたかった。」と告げたあと、もう片方の男がただ「いくよ。」とそっけなく言うところ。これはこの映画にしかないシーンだし、胸を打つ素晴らしいシーンだと思います。こういうことを繰り返し、ずれの部分を知っていくことは、自分の資質を知っていくことにつながっているように思います。

ある作品から受けた感動を、作品を作ることで次へと渡していく。その反射がどんどん広がっていくこと。僕が一番感動したのはその部分かもしれません。どうか鳥大映研のこれからを温かく見守っていてください。鳥大映研のみんなはもっともっと精進してください。そして僕もこの感動を、自分の作品を作ることで次へと反射させていきたいです。もちろんただいま編集中ですので、ご心配なく。

蛇足ですが、タイトルの『ジャリー』は砂がたくさん口に入ったからなのかな。

文/波田野州平